一目均衡表は、実践で使いこなすためにはある程度の経験が必要だと感じていますが、その信頼性の高さから比較的トレード戦略に取り入れる投資家・投機家が多いです。
そもそも一目均衡表ってどんなもの?
多くの投資家・投機家は、価格の現状を把握するために、価格が上がる・下がる、というものを基準にテクニカルやファンダメンタルを活用して考えます。
しかし、一目均衡表というテクニカル指標は「時間」という概念を取り入れることで、価格がどう推移するか、を考えて売買をすることができるのです。
一目均衡表の扱いは、慣れないうちは(簡単そうに見えて)少々難しいですが、一目均衡表を戦略に取り入れることができると、違う角度からチャートを見ることができます。
その一目均衡表、誰が作ったのかというとですね、細田悟一さん(ペンネームは一目山人)という人が戦前に日本で開発をしたものです。
主に、「時間・値幅・波動」という3つの要素をチャート上で見ることができるになっています。
一目均衡表は3つの理論で成り立っており、これについて興味がある方は、以下のページが参考になると思います。
参考 → 一目均衡表の三大理論「時間・値幅・波動」で理解を深める 準備中
テクニカル指標では「トレンド系指標」に分類されます。
ここで、実際に一目均衡表をチャート上に表示させて見てみましょうか。
今回は、DMM FXのチャートを使います。
DMM FXには多種多様なテクニカル指標が用意されているので本当に使いやすいです。
一目均衡表のデフォルト設定は以下のようになっています。
期間設定は、デフォルトでは転換線期間は9、基準線期間は26、先行スパン2期間が52となっていますが、このままで問題ありません。

以下の一目均衡表を表示させたチャートには、3つの線と、なんだか雲のようなものがありますね。
実際には、この雲のようなものは2つの線からなっています。
つまり、この中には、合計で5つの指標が存在しています。
それぞれ
緑色が基準線
オレンジ色が転換線
青色が遅行スパン
紫色が先行スパン1
ピンク色が先行スパン2
です。
この先行スパン1と先行スパン2が組み合わさってできたものが、一般的に「雲」と呼ばれています。
次に、それぞれの指標の役割を見てみましょう。
○緑色の基準線
基準線は、ローソク足の「高値と安値の中間値」である基準値を、最後のローソク足から数えて過去26本分を繋げたものです。これは、中期間の価格の推移を見ることができます。
○オレンジ色の転換線
転換線は、ローソク足の「高値と安値の中間値」である転換値を、最後のローソク足から数えて過去9本分を繋げたものです。これは、短期間の価格の推移を見ることができます。
短期間の線なので、大抵の場合ローソク足の近くを動いています。
○青色の遅行スパン
遅行スパンは、当日の終値を含む過去26本分を繋げて、それをさらに26本遅れて表示させたものです。言葉にすると難しそうですが、図にすると分かりやすいので後で説明します。
遅行スパンは、それが他の指標とどう関係しているのか整理するのがちょっと面倒だったりするので、一目均衡表を使い始めて慣れるまでパッとエントリーのタイミングを判断するのに手間取るかもしれません。
○紫色の先行スパン1
先行スパン1は、雲を作るための指標のひとつですね。
基準値と転換値の中間値を、最後のローソク足から数えて26本先に表示させたものです。
○ピンク色の先行スパン2
先行スパン2も、雲を作るための指標のひとつで、「高値と安値の中間値」を最後のローソク足から数えて52本分繋げ、さらにそれを26本先に表示させたものです。
このように、言葉にするとややこしいですが、
チャートで見ると分かりやすいです。
チャートで一目均衡表を見てみる
では、実際にチャートで見てみましょう。
先行スパン1・先行スパン2で形成される雲について
まずは実際に「先行スパン1と先行スパン2で作られた雲」を見てみましょう。
DMM FXのチャートに一目均衡表を表示さてせていますが、先行スパン1と先行スパン2により作られた雲は半透明のピンク色になっているのが分かります。
この雲は、先行スパン1と先行スパン2の価格の推移により様々な形を作ります。
見てみると、雲に厚みのある部分・薄い部分がありますね。
この雲が、株価や為替レートなどが上抜け・下抜けようとする時の抵抗帯になります。
○抵抗帯って?:ある価格帯まで上昇したり下降するが、そこで抵抗されるように何度も跳ね返されてしまうところ。
例えば、株価や為替レートが、上に漂っている雲へ向けて下から上昇しようとした場合..
雲に差し掛かると、そこが抵抗帯となってそのあたりで何度も跳ね返されたりします。
サポレジでいうところのレジスタンスのようなものですね。
逆に、下に漂っている雲へ向けて上から下落しても、雲が抵抗帯となり、そこで何度も反発したりします。
サポレジでいえばサポートみたいなものですね。
ですから、雲を手がかりに、雲を抜けたら順張りでついていく、または、雲で跳ね返されるのを狙って逆張りでエントリーする、といった戦略を立てることが出来ます。
雲の厚さについてですが、雲が厚い方が抵抗帯として機能しやすく、雲が薄ければそこを抜けてブレイクする確率も高くなります。
基準線と転換線について
基準線と転換線を使った売買は、移動平均線で売買の参考にされるゴールデンクロスとデッドクロスのようなものです。
文字通り、基準線に対して転換線がどう動くか、ということで売買のタイミングを検討することができます。
○好転
転換線が基準線を下から上に抜けると、それは買いエントリーです。それを「好転」と呼びます。
基準線が上に向いていると、実際の価格の推移は上昇基調である可能性があります。
○逆転
反対に、転換線が基準線を上から下に抜けると、それは売りエントリーです。それを「逆転」と呼びます。
基準線が下に向いていると、実際の価格の推移は下落基調である可能性があります。
好転・逆転・雲を利用して利益の機会を探す
さて、雲の役割と、基準線・転換線の関係についてお話したところで、
これらを組み合わせた売買手法を見ていきます。
有名で信頼性の高い売買サインに、「三役好転・三役逆転」というものがあります。
○三役好転は、強い買いのサイン
○三役逆転は、強い売りのサイン
です。
三役好転の条件は、
①転換線が基準線を下から上に抜ける
②遅行スパンが株価や為替レートなどの「ローソク足」を下から上に抜ける
③ローソク足が雲の上に出る
チャートで見てみるとこのようになりますね。

まず、実線がローソク足を下から上に抜けていますね。
さらに、基準線を転換線が下から上に抜けています。
そして、ローソク足が雲の上に抜けます。
これで三役好転です。
このチャートパターンを形成すると、強いトレンドに乗れる可能性があるなど、信頼性の高い買いサインです。
反対に、三役逆転の条件は、
①転換線が基準線を上から下に抜ける
②遅行スパンが株価や為替レートなどの「日々線」を上から下に抜ける
③実線が雲の下に出る
となります。
こちらも信頼性の高い売りサインですね。
ここまで条件が揃う場面は、実際のチャートではあまり見かけません。
それだけ、大きな利益を生み出す可能性もありますから、その時が来たら逃さないようにします。
このように、一目均衡表の使い方が分かると、チャートを違う視点から見ることができます。
通常、過去から現在の視点で戦略を練る投資家・投機家が多い中で、時間という要素を使って相場の動きを先取りやすくなるのもメリットのひとつです。