ボリンジャーバンドは、ジョン・ボリンジャーさんが開発したテクニカル指標です。
世界で最も使われているテクニカル指標のひとつですね。
移動平均線もそうですが、使っている人が非常に多い=多くの人が同じようなポイントを意識するので、必然的に機能しやすくなります。
ただし、ボリンジャーバンドにもダマシが存在する為に、注意する必要があります。
そこで、今回は、どのようにしてボリンジャーバンドでのダマシに対応していけば良いのかをお話します。
ボリンジャーバンドで見られるダマシのパターン集
ボリンジャーバンドがダマシになっているかどうかは、いくつかの方法で判断することができます。
もちろん、100%予測することはできませんが、余計な損失を減らすことができます。
その1 ±2σ・±3σの幅に注意する
今回は、トレード環境として使いやすいDMM FXのチャートを使用しています。
さて、どちらか一方の 2σか3σにローソク足が触れた時、まず確認するのは±2σ・±3σのボリンジャーバンドの幅です。
もし、バンドの幅が広がっていない時は、バンドの収束過程である場合があり、まだトレンドが発生していない可能性があります。

バンドが中央(ミドルライン)に向かって縮まっているようなら、それはまだトレンドは発生していない可能性が高く、バンドが外側に向かって広がりを見せているようなら、トレンドが発生する、または発生している可能性が高くなります。
このチャートでは、①の買いエントリーをする前にバンドが収束しています。
このトレーダーは、①で逆張りの買いエントリーをしました。
しかし結果として、価格はAのピンクのラインをさらに下げてロスカットになっています。
この場合、バンドが収束している時に逆張りでエントリーは控えた方が良いです。
なぜなら、バンドが収束した後に新たなトレンドが発生する可能性があるので、トレンドが発生した後に順張りでエントリーをした方が相場に付いていきやすいからです。
この局面では、Aのラインを割ると共に、バンドが拡大してきているのが分かりますね。
さらに、Aのラインの上に位置するピンクのラインを見ると、高値を切り下げてきています。
高値を切り下げて、Aのラインを割り、ボリンジャーバンドが拡大し始めるということは、さらに売り圧力が強まって下落の勢いが増す可能性を考慮します。
このように考えて、②売りでエントリーをします。
ここでのトレードの流れは以下のようになります。
①で買いエントリーをしていた場合は、まず買い圧力が弱まっているのでロスカット(LC)
→ ここでは、ボリンジャーバンドが収束しているので、トレンド発生を待つのが良い
②では、ピンクのAのラインを下にブレイクする事を狙い売りエントリー
③で、②を決済する
③の決済ポイントは、ボリンジャーバンドの-2σ~-3σ付近を反発し始めた為です。
さらに、④では、Aのラインを基準とする目線で戻り売りをしています。
その後、⑤で、③と同様に-2σ~-3σ付近を反発し始めたところで④を決済します。
⑤の決済ポイントは、長い下ヒゲも確認できたので、買い圧力が強まる可能性も考慮しています。
このチャートで気をつける事は、
・レンジ相場では、ボリンジャーバンドが一定の幅になりやすく、その場合は逆張りトレードをするのは有効
・しかし、ボリンジャーバンドが収束している時は、トレンドが発生する可能性がある
・ボリンジャーバンドが拡大する時は、短期・中長期問わずトレンドが発生している場合があるので、それに従う
ボリンジャーバンドの幅を見る事で、レンジ相場の終わり・トレンド発生・転換の可能性を考慮する事ができます。
それによって、±2σ・±3σ付近で単純に逆張りエントリーをする事で遭遇する、ダマシでのトレードや、余計な損失を減らすことができます。
そもそも、このテクニカル指標を開発したジョン・ボリンジャーさんは、元々トレンド系指標ということもあり「逆張りで使うべきではない」と述べています。
事実で言えば、「±2σ~±3σで逆張り」と、単純にトレードをするのではなく、レンジ相場とトレンド相場で使い分けをすれば、どちらにも有効な手法です。
その2 ローソク足のヒゲだけバンドに触れてもトレンドにはなりづらい
では、次のチャートを見てみましょう。
ボリンジャーバンドのローソク足のヒゲだけ±2σ・±3σに触れた時は、トレンド発生要因としては弱いです。

ヒゲが長ければ、それだけ中央の移動平均線(ミドルライン)に戻ろうとする力が働きます。
しかし、以下のチャートのように、保ち合いの後でかなり長いヒゲをつけた時は、その時点でトレンド転換・発生の可能性を考慮します。
それは、このような長いヒゲをつけた時に、収束していたバンドが広がり始めたら上下どちらかにかなり強いエネルギーが生まれるケースが多いからです。
こういう時は、順張りでエントリーするのが有効です。
また、トレンド発生中にボリンジャーバンドの±2σ・±3σに長いヒゲが触れたら、それはトレンドが終わりを迎える可能性(転換点になる)を考慮にいれます。
トレンドが終わり、バンドの幅が一定のレンジ相場になった時や、比較的緩やかなトレンドが発生した時は、逆張りでエントリーをしていきます。
その時、±2σ・±3σにヒゲで触れた時点ではトレンドが発生しずらい為、順張りでエントリーするのは控えます。
いずれにしても、基本はローソク足の実体が±2σ・±3σに触れたかどうかを見ると良いですね。
その3 移動平均線(ミドルライン)の向きをチェックする
ボリンジャーバンドの移動平均線(ミドルライン)がトレンドが発生する方向ではなく、横に向いていたり、反対方向に向いていると、それはトレンドにはなりにくいです。
さて、以下のチャートはどのような動きになるでしょうか。
レンジ相場では、±2σ・±3σが支持線・抵抗線となり、ブレイクする可能性は低くなります。
しかし、最新の価格ではボリンジャーバンドが収束していますね。
ボリンジャーバンドが収束し、価格は切り下げて売り圧力が高まりそうだが、ミドルラインは上向き、さてどうしたものか。
考え方は、①ミドルラインが上向きでも、必ずしも上昇基調とは限らないということです。
次に、②価格が切り下げているので買い圧力の低下を考慮し、レンジ圏をブレイクしたらボリンジャーバンドの広がりを確認し、どちらかに順張りで付いていきます。
ここでは、③レンジ圏を下にブレイクしたので、売りでエントリーをしました。
このように、レンジ圏をどちらかに抜ければ、それはトレンドが発生する可能性があります。
確かにミドルラインの向きはチェックすると良いですが、あくまでも過去の数値から計算されたものであり、現在価格で何が起こっているのかを見る事は大切です。
段階的にポジションを増やすことで、ダマシでの損失を限定する
ボリンジャーバンドを順張り指標とする場合、トレンドが発生する場合もあれば、それがダマシになる場合もあります。
この時、
①大きなポジションを持って大きな利益を得る
もしくは、
②ダマシの可能性を考慮して段階的にポジションを増やす
方法があります。
①の場合で注意しなければいけない点は、許容損失額を超えるトレードサイズでエントリーをすると、含み損を抱えた時に対処がしずらくなる事です。
このように、全力でエントリーをしたり、かなり無理をしたトレードでは、余剰証拠金が少ない状態でトレードとなりやすく、含み損を抱えた時に身動きが取れなくなったり、絶好の買い場の時には資金がつきてしまって、勝てるトレードも負けトレードになってしまいます。
それはもったいない。
もちろん、許容損失額の中で勝負をする場面はありますが、いわゆる無計画ナンピンや無限ナンピンと言われるものはこのようなトレードで起こり得ます。
そこで、以下のチャートのように、エントリーを段階的に分けることで、仮にダマシだったとしても、損失を必要最小限にすることができます。
そしてうまく流れに乗れたら、段階的にポジションを増やします。
ここでは、1度の許容損失額を3回に分割して買いエントリーをしていますね。
価格は下げていますが、許容損失額の中でトレードをしているので問題ありません。
この後、3度目の分割買いのポイントで反発しました。
その後、価格は上昇。
損益分岐点を下げる事が出来ただけでなく、さらに利益分から追加で買えたので、結果的に良いトレードになりました。
1度に全力でポジションを取ればそれだけ利益も大きいというメリットがありますが、それがダマシだった場合は身動きが取れなくなってしまいます。
ロスカットの設定は必須です。
また、段階的にポジションを増やす(分ける)ことで、ポジションを操作できるメリットがあります。
後者の方が安定的に利益を上げている人が多い印象ですが、これは向き不向きも含めて、色々なトレードを実践で試してみると良いです。
ただ、打診でポジションを取った後、トレンドが発生して思惑通りの方向に価格が動いた時、
「よし、ここで残りの余力を全て使ってエントリーだ!」
といったようなこともおすすめしません。
なぜなら、トレンド発生後には、必ずトレンドの終わりがあり、それがどのタイミングで訪れるのかは誰にも分からないからです。
ポジションを段階的に増やす場合は、計画的にすることが大切です。
ちなみに、日本人にとって使いやすいDMM FXや、外為ジャパン、GMOクリック証券のFXチャートなら、こういうポジション操作でミスをする事もかなり少なくなります。
私も、かつて使い勝手が悪いチャートツールで操作ミスによる余計な損失をたくさん繰り返しました(´∀`; )
ですので、あなたにとって使いやすいチャートツールを選ぶ事は、意外と重要だと思いますよ。