ボリンジャーバンドは、その使いやすさ・分かりやすさから、世界的に使われているテクニカル指標のひとつです。
さて、ボリンジャーバンドとRSIを組み合わせたトレード手法についてお話をする前に、より理解を深める為、まずはボリンジャーバンドの落とし穴についてお話をしたいと思います。
ボリンジャーバンドの落とし穴
ボリンジャーバンドを使った基本的なトレード方法は、
①トレンドが発生している時は順張りでエントリー・決済
②レンジ相場では、逆張りでエントリー・決済
です。
よく、ボリンジャーバンドの±2σ・±3σにタッチしたら逆張りでエントリー、と、教わる人が多いのですが、これはレンジ相場での基本的エントリーの話で、トレンドが発生した場合は、ローソク足が±2σ・±3σに張り付いて推移するので順張りでついていくのが基本です。
初心者の方では、意外と、ボリンジャーバンドを使ったトレードで「トレンドが発生している時は順張りでエントリーをする必要がある」ことを知らない方がいます。
トレンド発生中に逆張りでエントリーをすると、不要な損失まで取らないといけませんから注意が必要です。
さて、多くの人が愛用しているボリンジャーバンドには、ダマシが度々起こるという欠点があります。
例えば、ボリンジャーバンド単体では-2σ~-3σで買いエントリーをして、+2σ~+3σで決済をする、というのがよく言われますが、場面によっては-2σ~-3σで買いエントリーをしても、さらに価格を下げることがあります。
もしくは、-2σ~-3σで買いエントリーをして、思惑通り価格を上げてきても、移動平均線のミドルラインや+1σあたりが抵抗となり、価格を戻してくることもあります。
逆に+2σ~+3σから売りエントリーをする場合も同様のことが言えますね。
まず、ミドルラインで跳ね返る例を見てみましょう。
今回は、使い勝手が良いDMM FXのチャートを使用しています。
この場面では、下降局面なので売り目線で考えています。
まずは+2σ付近で売りでエントリーをしたいところですが、ここで注意したいのが、ヒゲではなく実体が+2σに触れたかどうかを確認します。
通常は実体が+2σに触れたかどうかで判断をしますが、ここでは、終値ベースで高値を切り下げていた事や、買い圧力がやや弱い事、下降局面である事などを理由に、+2σに実体が触れていなくても、ヒゲが+2σに触れていたので売りでエントリーをします。
このあたりは、裁量の強みでもあり、難しいところでもありますが、上記の理由から、①+2σに(ヒゲが)触れ、価格を下げてきたら売りエントリーをしています。
この後、決済P1まで価格を下げますが、下降局面なので、さらに利益を狙って、一部決済とし、残りはまだ保有します。
ここで、ミドルラインまで価格を上げてくるポイントがありますね。(※印)
この※印ポイントでは、ミドルラインを上に抜けるかどうか注目し、上に抜けた場合は反転上昇する可能性を考慮し、すぐ決済をします。
理想は-2σで決済をしたいところですが、実践では中央線であるミドルラインを大きく上抜けてしまうこともあります。
そういう時に、-2σまで価格が推移することを期待してポジションを抱えていると、含み益が無くなるか、ロスカットになる可能性があります。
今回はミドルラインを跳ね返されて再び下落しましたので、保有したままです。
下降局面ではよくあるパターンです。
上昇局面であれば、ミドルラインで反発する事がある、という事ですね。
その後、②-2σに触れるか割った後、③再び価格が上昇しそうだと判断した時に残りを全決済します。
もちろん、トレードスタイルによっては決済P1で全決済してしまっても良いです。
その後も、価格を上げた後に+2σにローソク足の実体が触れたので売りでエントリーをしました。
ケースバイケースですが、先ほどのようにミドルラインでよく跳ね返される(反発する)ようならそこで決済をします。
小さな利益でも、それは勝ちトレードです。
トントンでも、それは負けトレードではないのです。
トレードをする以上、負けを恐れる必要はありませんが、負けトレードは少ないに越した事はありません。(トレードスタイル次第ですが)
逆に、ポジションを抱えていればミドルラインを上か下のどちらかを突破して、エントリーをした方向に大きく動き、より大きな利益を獲得できる場合もありますが、相場の状況に応じて柔軟に切り替える事が(非常に)大切です。
ミドルラインで決済をするか・しないかの判断は、価格の推移に勢いがあるかどうか、上昇(下降)局面は継続しそうか、といったことも参考になります。
では、もう一つ、レンジ相場から上昇相場が発生するパターンを見てみましょう。
このチャートでは、まず、レンジ相場では売り・買いの両方を意識しています。
レンジ相場では、逆張りで上手に利益を重ねていきます。
その後、ボリンジャーバンドが収束し、①-2σを割り、価格を上げてきたら買いエントリーをします。
②+2σに触れたか越えた後、③再び価格が下落しそうだと判断した時に決済をします。
ここが天井圏となり、下降局面に入ります。
③で決済をした後、すぐに売り(+2σ)でエントリー→-2σに触れたら決済をしています。
④で買いエントリーをしていますが、下降局面でこの後下落した為、すぐにロスカット(LC)をしています。
ここでは、上昇相場が発生した後、 ローソク足が+1σ~+2σで推移していますね。
加えて価格の上昇の勢いも強く、これは強い上昇相場でした。
相場では、ローソク足が、ボリンジャーバンドの+1σ~+2σ(上昇相場)or-1σ~-2σ(下降相場)で推移する事はよくあります。
こういう時、①の初動でエントリーが出来れば良いですが、逆張りでエントリーをした後、そのまま反対の方向に価格が動く事もよくあります。(これには本当に注意します!)
そういう時は、迷わずロスカットです。
ロスカットをしたら、すぐに順張りでついていくのも有効です。
逆張りトレードは、レンジ相場では勝率は高くなる傾向にありますが、一度トレンドが発生して反対方向に価格が動くと、無計画ナンピンをする人は多いです。
それでなんとかなる場面も確かにあるのですが、それも続かずに、ロスカットをしない場合、大抵はどこかで大損してしまうでしょう。
そういう無理な事を続けて、どこかで必ず起こるコツコツドカン!というものですね。
語弊がないようにナンピンについて触れておくと、トレード計画に沿った計画的なナンピンと場当たりの無計画ナンピンは別物です。
私は、計画的なナンピンをよくやります。
1度のトレードで許容できる損失の範囲内で、分割してエントリーをするのです。
損益分岐点下げるなど、メリットは多いです。
もちろん、ロスカットポイントもしっかり設定します。
さて、話を戻しますと、ボリンジャーバンド単体でトレードをした場合は、このようなチャートの例がよく起こります。
これでもトレードは可能ですが、判断に迷う場面は多いでしょう。
ダマシはもちろんありますし、エントリーはともかく、決済するタイミングで悩む人は多いです。
そのダマシや迷いは、その他の指標と組み合わせることでボリンジャーバンドのダマシを避けやすくなります。
ここで、ボリンジャーバンドとRSIを組み合わせたトレードで、ダマシを避けやすくし、エントリーと決済ポイントをより明確にする方法をお話します。
そのままではエントリーしずらいが、RSIを組み合わせることでサインが分かりやすくなる
DMM FXのチャートでRSIを表示させる時のデフォルトは、買われ過ぎライン(70)と売られ過ぎライン(30)になっています。
今回は、買われ過ぎラインを75・売られ過ぎラインを25にしました。
この値は、ストラテジー(戦略)によって少し変えていきます。
○買われ過ぎライン…70~80程度
○売られ過ぎライン…30~20程度
以下がボリンジャーバンドとRSIを組み合わせたチャートです。

ボリンジャーバンドがトレンド系指標で、RSIがオシレーター系指標です。
トレンド系指標はその名の通り、トレンドを探る場合に有効で、オシレーター系指標で共通しているのは「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を視覚化することができます。
ボリンジャーバンドとRSIを組み合わせることで、双方の利点を活かすことができます。
まずはボリンジャーバンドを見てみます。
①では、+2σ~+3σ付近に到達していますね。
次に、RSIを見てみましょう。
先ほど触れたように、DMM FXのデフォルト設定では、買われ過ぎラインが70・売られ過ぎラインが30となっていますが、ここでは買われ過ぎラインを75・売られ過ぎラインを25としました。
基本的には、買われ過ぎラインが70~80・売られ過ぎラインが20~30が使いやすいと思いますが、これは主にトレードをする時間足によって変えたりしています。
RSIは75%を越えています。
つまり、買われ過ぎを示しているということですね。
75%を超えていれば逆張りでエントリーを考慮します。
ボリンジャーバンドの+2σ~+3σ付近に到達し、RSIも買われ過ぎを示しているので、エントリーの基本的条件に合いますね。
ですから、ここで①売りエントリーをします。
続いて、どこで決済をするか考えます。
このチャートは売りでエントリーをした後、下降局面に入り、ローソク足がボリンジャーバンドの-2σ~-3σ付近で推移していますね。
こういう時、ボリンジャーバンドだけでは、どこで決済をすれば良いか判断に迷う事があります。
そこで、RSIの値の推移を見てみます。
赤い点線のローソク足の部分では、一旦売り圧力が弱まっていますが、RSIを見ると、このポイントでは、RSIが売られ過ぎラインを割っていません。
エントリー後、一度-2σ~-3σまで価格を下げてきましたので、
ボリンジャーバンド単体であれば決済をしているところです。
しかし、今回はRSIを組み合わせています。
RSIを見てみると、まだ25%を割っていないのが確認できます。
RSIは世界的に使われているテクニカル指標で機能しやすく、多くのトレーダーがその指標を参考にします。
つまり、多くのトレーダーが大体20%~30%を下回ると売られ過ぎと判断しやすい、という事ですね。
ですから、もう少しポジションを保有します。
その後、価格は下がり続け、
25%を下回って、売り圧力が弱まったところで決済をしました。
ここで、ボリンジャーバンドが-2σ~-3σ、RSIが25%以下なので、決済をしたら新たに②買いでエントリーをする条件も整っています。
下降局面ですが、相場の状況に応じて、一時的な戻りで取るのは有効です。
このチャートでも多くの投資家・投機家に売られ過ぎと判断され、下降局面の中で一時的に価格を持ち直していますね。
さて、このチャートの例では、ボリンジャーバンド単体で-2σ~-3σに1度触れたタイミングで決済をするのと、RSIの動きもチェックして決済した場合とでは、利益の幅が大きく変わってきます。
このように、ボリンジャーバンドとRSIの組み合わせは、エントリーと決済ポイントを明確にすることができます。
次のチャートを見てみましょう。
このチャートは、ごく短期的な下降局面で、売り目線で考えています。
①+2σを越えて+3σまで触れ、且つ、75(RSI)の買われ過ぎラインを越えたら売りエントリー
②-2σに触れて、且つ、25(RSI)の売られ過ぎラインを割る
③再びRSIの値が上昇しそうだと判断した時に決済する
点線の赤い丸では、ローソク足は-2σに触れているが、このポイントでは、RSIが売られ過ぎラインを割っていないのでポジションは保有しています。
もちろん、毎回100%同じような動きをする訳ではなく、売りでエントリーをして-2σ~-3σに触れて、RSIも下がり気味であっても、そのままミドルラインまで価格を上げたり、再び下落する事なく、結果的に反転上昇することもあります。
しかし、RSIを組み合わせることで、ダマシに遭う確率を減らすことができ、そのエントリーの信頼性を高める=利益の機会を増やすことができるのです。
注意したいのは、ボリンジャーバンドとRSIを注視するあまり、相場の全体像を見失うことです。
あくまでも、現在価格が位置するのがレンジ相場なのか、トレンドが発生しているのか、まずはそれを把握することが大前提になります。
一時的な戻りや押し目を作る為の動きを狙ってエントリーをする場合もありますが、トレンド相場なのに-2σ~-3σや+2σ~+3σで逆張りでエントリーをばかりしてしまったら、ボリンジャーバンドやRSIを使うメリットが薄れてしまいます。
基本的には、トレンドが発生している時は、ボリンジャーバンドとRSIを使って順張りでエントリーをしたり、時々押し目買いや戻り売りをします。
レンジ相場では、逆張りでエントリーします。
ミドルラインでの価格の反応も見ます。
その上で、ボリンジャーバンドとRSIを組み合わせたトレードをすると確度の高いトレードを楽しむことができます。