トレードの技術も大事ですが、もっと重要なのが、損益に対する心構えですかね。
この辺りは永遠のテーマではあると日頃から思っています。
トレードにおいては私の経験上、過去の成功トレードばかりを振り返っていると、とろくな事がありません。
トレードの手法を確認するためのバックテスト、過去のチャートの流れなど、そういうものを見ることは良いことだと思います。
しかしながら、例えばトレードで利益を得た「結果」・トレードで得た「損失」(敢えて損失に対しても「得た」と書いています)、これらがもたらす精神的な作用は、心構えがなければ良くも悪くも大きな影響を与えるものです。
利益、それが「より大きなもの」になればなるほど、「大きな高揚感や自信」になります。
そういった記憶のエネルギーは、脳に長く留まり続けます。
損失、それもより大きなものになればなるほど、大きな恐怖心になります。
このエネルギーも、脳に長く留まり続けます。
これがトレードでは大きな敵になります。
トレードは、ものづくりなどのクリエイティブや、チームプレイで何かを成し遂げる時のような、「何か創造するもの」に近いものがあると思っているのですが、過去に成し遂げた何かにしがみついても、大抵うまくいきません。(恐らく多くの人に当てはまると思います)
過去のヒット商品を生み出した社長が、同様の手法を使いつづけて市場に新製品を送り出すが、手法そのものが古いものであるため、ユーザーに受けない→ 一発病
ある分野のプロのスポーツ選手達が、相手チームに対して「優勝当時に通用していた戦術」を使い続けるが、時が過ぎてその戦術そのものが研究されてしまっている、または優勝当時の選手陣とはがらっと変わり、その戦術が今のチームに合っていない…
などなど、こういう現象に似ています。
トレードではこのような状態に陥る人、続出します。
私も例外ではありません。
私の場合、常に良い状態をキープすることはできないので、
やはり調子が悪い時は、やや業績が落ちたりすることがあります。
つまり、私も心構えがなければ、同様の失敗をすることになるでしょう。
トレードの場合は、
トレードで利益を得た「結果」
トレードで得た「損失」
この二つは心に大きな影響をもたらします。
連勝中は、高揚感と自信から無防備になりやすいです。
「あの時大きな利益を取れたパターンだから、今回もこのタイミングでエントリーだ」
「今は連勝中だから、トレードの技術は向上している。ベストなタイミングではないけどここでエントリーをすれば今回もきっと勝てるだろう」
すると、エントリーのタイミングをしっかり検討しない、ロスカットを設定しないでエントリーといったようなことをしてしまいます。
そして相場とは、こういう時に「限って」思惑や期待とは大きく反対方向に価格が動いたりします。
含み損を抱えると、高揚感と自信により、
「あの時のようにきっと今回も大丈夫。ロスカット設定しなかったから今は大きな含み損だけど、もう少し様子を見てみよう。」
「ロスカットに引っかかりそうだ、多分、この辺りで価格が反転するだろうからロスカットの設定を解除しよう」
すると、さらに思惑とは反対の方向に価格が動き、戻ってくることはありません。
ここで、強制ロスカットなどによって耐え難い現実を避けることができなくなります。
こういった体験は、自分がしてきたことに対する成功体験にとらわれた結果、起こりやすくなります。
過去の成功体験は強いエネルギーとなるので、うまくいかない時ほど、成功体験を振り返り、自分自身のトレードを正当化しようとします。
意識をしなければ、その失敗するであろうトレードを、ささっと手仕舞いしなければいけない場面で出来ないでしょう。
でも心配はいりません、これは改善できます。
トレードをしていると、誰でも通る道ですね。
中にはこのような精神的な苦痛を体験したことがない天才的なトレーダーもいるかもしれません。
その場合は、トレードで「利益」を得た結果と、トレードで得た「損失」に対する心構えが、相場の世界に入る前にできていた可能性が高いです。
いずれにしても、これらがもたらす精神的な作用に対する心構えは必須です。
この心構えとは、簡単に言えば、「一喜一憂しない」ということです。
日々のトレードの成功体験を毎日捨て去るのです。
成功体験を捨て去ることで、新たにトレードをする当日の精神状態はフラットなものになります。
これによって心はかなり落ち着くので、日々のトレードでうまくいかない時があっても、その原因は何かすぐに気づくことが出来る&修正できます。
もちろん、その日に得た利益の履歴を見て「今日は良く取れたなぁ!」と感じたりするのは全然大丈夫です。
気分を良くして好きなお酒を飲む、どこか美味しいものを食べに行く、そういうのも良いですね。
私はよくやります。ご褒美脳というやつですね。
この状態に気持ちを持っていくために、まずはトレードに関することでいろいろ試してみると良いです。
例えば、どうしてもロスカットを設定できない人は、その最初のロスカットを設定する勇気を持つことでトレードで抱える大半の損失を無くすことができるかもしれません。
デイトレードのはずなのに、次の日に持ち越してしまう人は、必ずエントリーをした日に全てのポジションを手仕舞いをする..などなどです。
ロスカットを設定できない、決めた日に手仕舞いできない、という癖によくあるのは、過去にトレード利益を得た経験の印象が強く、かつ含み損を抱えている時です。
過去の成功体験があるので、含み損を抱えている時にその体験が邪魔をして、「そのうち戻してきてトントン・利益が出るだろう」と、素早く切ることができないのです。
前日、もしくはそれより前のトレードと、当日のトレードは、全く別物です。
相場は確かに繰り返しますし、「一定期間の相場の参加者属性」もそう変わりません。
長い目で見れば、これはより明確になりやすいです。
しかし、より短期になれば、ノイズなどの不確定要素は多くなります。
なので、当日にトレードをしてみて、迷ったり、少しでもうまくいかないと感じたら、すぐに手仕舞いをする、この切り替えが短期トレードになればなる程大事です。
過去のチャートパターンと非常に似た様なものでも、その後逆に価格を上げることもあれば、下がることもあるので、そこに、過去の成功体験は不要です。
ロスカットを設定できなかったり、デイトレードをしているのに日を跨いでしまう癖は、一度つけると修正するのに時間がかかるかもしれませんが、そういったものは、過去の成功体験からきているものである可能性が高いです。
しかし、そのクセを捨て去ることで、成功体験にとらわれない考え方が身につき、同時に日々のトレードに目を向けることができるようになります。
これは、リアルトレードで本物の資金の増減から感じとらないと、本当の意味で体験するのは難しいかもしれません。